2021年08月25日

ファイザー社製mRNA新型コロナワクチンの6ヶ月間の安全性と有効性について

 米国がファイザー社製mRNA新型コロナワクチンを正式承認した事について、ファイザー社製mRNA新型コロナワクチンの6ヶ月間の安全性と有効性についての論文と共に、波紋が広がっています。
○Six Month Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine
 https://doi.org/10.1101/2021.07.28.21261159

 ファイザー社製mRNA新型コロナワクチンの6ヶ月間の安全性と有効性についての査読前論文にて、盲検試験期間中、1回目接種後死亡者数29人の内、ワクチン接種者が15人とプラセボ接種者が14人となっています。
○Supplementary Appendix Table S4 | Causes of Death from Dose 1 to Unblinding (Safety Population, ≥16 Years Old)
 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.07.28.21261159v1.supplementary-material

 盲検試験期間中、98.5%の被験者が予定通り2回目の投与を受けたため、この試験では1回の投与後の保護の持続性に関する情報は得られなかったとされています。
 Table S3 | Participants Reporting at Least 1 Adverse Event from Dose 1 to 1 Month After Dose 2 During the Blinded Follow-up Period.では、死亡者数8人の内、ワクチン接種者が3人とプラセボ接種者が5人となっています。

 この研究の開始時期は、2020年12月からのデータであり、試験参加者の77%が米国からの参加者であり、デルタ株の影響は無く、2021年3月13日以降のデータは報告されておらず、6ヶ月後の有効性は盲検化されていないため不明であり、デルタ型の有無に関わらず保護機能が低下している証拠があり、安全性データの報告も限られており、またプラセボグループと死亡者数が大きく異なっていないため、何故正式承認されたのかが疑問の残る所となっています。


 さて、デルタ株によるブレークスルー感染に関するデータは、現時点で限られており、The Lancetに掲載されている査読前論文では、ベトナムの感染症病院の医療従事者間で継続的に感染していることを示唆しており、2020年3月から4月の間にベトナムで検出された古いSARS-CoV-2株に感染した症例の251倍のウイルス量であったとされています。
○Transmission of SARS-CoV-2 Delta Variant Among Vaccinated Healthcare Workers, Vietnam
 https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3897733

 今後、日本の学校でクラスターが発生する可能性は否めないため、事前に、学校内のワクチン接種者に対して各種検査を行っておくのが良い気がします。


posted by Auctor at 23:53 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月24日

学校での新たな支援職に関する省令が施行

 文部科学省が、2021年8月23日に、学校での新たな支援職に関する省令を公布・施行した事を発表しました。
 https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/mext_00034.html

 新たな支援職は、以下の4つとなります。

○医療的ケア看護職員
○情報通信技術支援員(ICT支援員)
○特別支援教育支援員
○教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)

 パブリックコメント「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について」は、以下にて確認できます。
 https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=185001179&Mode=1

 情報通信技術支援員(ICT支援員)について、通知の中で以下内容が記載されています。

 国においては、「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018年度〜2022年度)」において、情報通信技術支援員(ICT支援員)を4校に1人配置することを目標とし、地方財政措置を講じているところであり、各都道府県・指定都市教育委員会等におかれては、その趣旨に鑑み、情報通信技術支援員の配置促進に積極的に努め、GIGAスクール構想の実現、推進を図られたいこと。

 各自治体や学校は、令和3年度文部科学関係予算を上手く活用し、学校での新たな支援職の充実を図っていくのが良いかと思います。
 https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/r01/1420672_00002.htm
posted by Auctor at 16:51 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月20日

英国が抗体カクテル療法を承認

 英国が、抗体カクテル療法を承認した事を発表しました。
 https://www.gov.uk/government/news/first-monoclonal-antibody-treatment-for-covid-19-approved-for-use-in-the-uk

 抗体カクテル療法は、日本でも特例承認されており、米国でも緊急使用承認がされています。
 https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/therapies/anti-sars-cov-2-antibody-products/anti-sars-cov-2-monoclonal-antibodies/

 英国での抗体カクテル療法の承認は、以下論文が影響しているかと思います。
○Subcutaneous REGEN-COV Antibody Combination to Prevent Covid-19
 https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2109682

 米国での緊急使用承認のファクトシートでは、以下の医学的状態またはその他の要因により、成人および小児の患者は(年齢12〜17歳、体重40kg以上)は、重度の症状に進行するリスクが高いとされています。
 - 高齢(例えば、65歳以上)であること
 - 肥満または体重過多(例:BMI>25kg/m2 または、12〜17歳の場合はBMI≧25kg/m2 、または12〜17歳の場合、CDCの成長チャートに基づく年齢と性別の85パーセンタイル以上。https://www.cdc.gov/growthcharts/clinical_charts.htm
 - 妊娠している
 - 慢性腎臓病
 - 糖尿病
 - 免疫抑制性疾患または免疫抑制性治療
 - 心血管疾患(先天性心疾患を含む)または高血圧症
 - 慢性肺疾患(例:慢性閉塞性肺疾患、喘息[中等度から重度]、間質性肺疾患、嚢胞性線維症および肺高血圧)
 - 鎌状赤血球症
 - 神経発達障害(例:脳性麻痺)または医療の複雑性をもたらすその他の状態(例:脳性麻痺医学的に複雑な疾患(例:遺伝性または代謝性の症候群、重度の先天性異常など重度の先天性異常など)
 - 医療関連技術に依存していること(例えば、気管切開、胃瘻、陽圧換気など気管切開、胃瘻、陽圧換気など(COVID19とは関係ありません))。
 その他の医学的条件や要因(例えば、人種や民族)によっても重度のCOVID-19に進行するリスクが高いと判断される場合があります。

○FACT SHEET FOR HEALTH CARE PROVIDERS EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF REGEN-COVTM (casirivimab and imdevimab)
 https://www.fda.gov/media/145611/download

 抗体カクテル療法でも、重症化や感染を増強させる(ADE: Antibody dependent enhancement 抗体依存性増強)可能性は否めず、今後、英国で抗体カクテル療法が実施された後、どのような状況になるか注視すべきかと思います。
posted by Auctor at 23:27 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする