2021年12月10日

第1回未来人材会議

 経済産業省が、2021年12月7日に開催した第1回未来人材会議の開催資料を公開しました。
 https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/001.html

 事務局資料では、様々な部分において、各国と比較した日本の状況が記されています。
○デジタル化に伴う変化スピードに対応できると認識している日本の経営層は、約4割に留まる。
○民間企業の調査によれば、日本企業の従業員で士気・熱意がある者の割合は5%と、東アジアに絞ってみても、最低水準。
○民間企業の調査によれば、現在の勤務先で働き続けたい者の割合は、日本が最も低い。
○民間企業の調査によれば、転職意向、独立・起業志向のある人の割合も、日本が最も低い。
○民間企業の調査によれば、日本企業の部長の年収は、タイと比較しても約120万円少ない。
○日本では、優秀な人材に対して、適切な報酬が支払われていない状況。
○民間企業の調査では、米・仏では「評価のフィードバック時」などで賃上げの交渉を行っているのに対し、日本は「賃上げを求めたことはない」との回答が最も多い。
○民間企業の調査によれば、日本の雇用者における給与満足度は、米・仏よりも低い。
○民間企業の調査によれば、「転職によって賃金が増加した」と回答した転職者の割合が、日本は22.7%と小さい。日本では、転職が十分に賃金上昇の機会となっていない可能性。
○国際経営開発研究所(IMD)の世界人材力ランキングでは、日本は38位。
○OECDの国際人材誘致ランキングでは、日本は25位。
○主要国において、博士号取得者数が減少傾向にあるのは日本のみ。
○日本企業のOJT以外の人材投資(GDP比)は、諸外国と比較して最も低く、低下傾向。
○社外学習・自己啓発を行っていない個人の割合は半数近くで、諸外国と比較しても不十分。
○国際比較すると、日本の経営者の内部昇格割合は97%と、突出して高い。
○社外経験のある経営者も少なく、同質性の高さがうかがえる。
○グローバル競争が過熱する中でも、グローバル経験を有する経営者の割合が少ない。
○国外の高等教育機関に留学する日本人学生数は2004年をピークに3割ほど低下し、近年は横ばいが続く。
○日本のユニコーン企業の合計時価総額は、企業数以上に諸外国と大きな差がある。
○世界50ヶ国・地域の個人に対するアンケート調査によると、「自分は起業に必要なスキル・知識を有している」と回答した割合は、日本は14.0%と最下位。

 未来人材会議にて議論いただきたい論点と対応の方向性について、以下を挙げています。
○人材育成
・デジタル、グリーンなど、産業構造の転換が進行する中、どのような人材が必要か、企業は把握できているのか。
・産業界は、今後求められる人材像について、具体的なニーズを教育機関に示すことができているのか。
・教育機関は、産業界のニーズを把握しておらず、実社会で活躍する人材を育成できているのか。
・社会が必要とする現場人材(農業、自動車整備、建設等)の将来像も含めた鳥瞰的な人材像が必要ではないか。
○雇用・労働
・大企業内の遅い昇進により、グローバルに戦える経営人材が育っていないのではないか。
・スキル・ポジションに見合わない賃金や処遇により、国内外の優秀な人材を確保できていないのではないか。
・過度に厳格な労働時間管理等により、柔軟な働き方が阻害され、個人の能力が十分に発揮されていないのではないか。
・長期雇用を前提とした制度(給与体系、退職金税制等)が個人の自律的なキャリア形成を阻害しているのではないか。
○対応の方向性
・2030年、2050年の産業構造を複数のシナリオとして設定し、どのような労働需給となるかを推計してはどうか。
・それを踏まえ、将来求められるスキルや能力を明らかにする必要があるのではないか。
・その上で、採用・雇用から教育まで、全体を見渡した人材政策を展開する必要があるのではないか。
・例えば、TSMCの熊本への投資を契機とした半導体の人材育成モデルを念頭に置いて国全体に広げてはどうか。
・なかんずく、未来の日本を担うイノベーション人材を輩出・確保するための環境整備に取り組むべきではないか。

 日本で、異色な経歴を持つ人材を受け入れる職場環境が整えば、状況は大きく変わる気がします。

 
posted by Auctor at 05:01 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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