2022年02月01日

第1回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会

 個人情報委員会が、第1回犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会の配布資料を公開しました。
 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/camerakentoukai/20220128/

 検討会の目的として、以下を挙げています。
○顔識別機能付きカメラの高性能化及び低価格化により、事業者が犯罪予防や安全確保のため容易に顔識別機能付きカメラを利用することが可能になった。
○顔識別機能付きカメラは犯罪予防の観点からは有効であるが、遠隔で個人を識別できるという技術的特性上、受忍限度を超える個人のプライバシー侵害を生じさせるリスクをはらむ。
○犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像の利用については、国内外で適切な利用の在り方が模索されている。
○本検討会では、公共空間における犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像の適正な利用の在り方について包括的に整理。

 検討事項として、以下を挙げています。
○顔識別システムの利用が有効かつ必要であると考えられる場面
○個人情報保護法に基づいて求められる対応
○事業者の自主的取組として推奨される対応
○その他推奨される取組(認定個人情報保護団体制度の活用等)

 「顔画像や顔識別データは個人情報に該当するため、防犯カメラを用いて顔画像や顔識別データを取得することは、個人情報の取得に当たる。」とされており、今後の検討課題(案)として、以下を挙げています。
1. カメラ画像の取得・利用
• 顔識別機能付きカメラの利用目的の特定の在り方
• セキュリティの確保とのバランスを考慮しながら、
 公共空間で顔識別機能付きカメラを利用する場合の利用目的等の通知・公表の在り方
 登録基準や取得方法、運用ルールその他の事項に関する透明性確保の在り方
 利用目的の通知・公表が不要である場合に透明性確保の観点から考えられる対応 等
2. カメラ画像の保管
• 登録基準、運用ルールとして定めておくべき事項
• 安全管理措置の在り方 等
3. カメラ画像の提供
• 法第27条第1項例外に基づき第三者提供を行う場合の考え方や透明性確保の観点から考えられる対応
• 共同利用により提供する場合の留意事項 等
4. 開示等請求
• 開示等請求への対応方法
• 苦情及び本人からの問い合わせへの対応方法 等
5. 認定個人情報保護団体
• 顔識別機能付きカメラの利用に関し認定個人情報保護団体に求められる活動 等
6. 事業者の自主的取組
• PIA(Privacy Impact Assessment、個人情報保護評価)実施、個人データの取扱に関する責任者の設置、第三者による検証、運用状況の公表 等
7. その他
• 国民の理解を得るための周知、情報発信 等

 今後、顔識別機能付きカメラの高性能化及び低価格による普及により、いつ/どこで/誰が/何をしたかについて、容易に追跡が可能となり、犯罪予防の顔認証データベースに誤登録された場合、基本的人権は無くなり、スーパーや店舗等で、買い物が出来なくなる場合等もあるかと思います。

 カメラ画像や顔識別データを体系的に構成して個人情報データベース等を構築した場合、個々のカメラ画像や顔識別データを含む情報は個人データに該当し、開示等請求に応じる義務があるのですが、以下の場合は、開示等請求に応じる義務がありません。
○保有個人データに該当しない場合(個人情報の保護に関する法律施行令第4条)
1. 当該個人データの存否が明らかになることにより、本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれがあるもの
2. 当該個人データの存否が明らかになることにより、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがあるもの
3. 当該個人データの存否が明らかになることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの
4. 当該個人データの存否が明らかになることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が及ぶおそれがあるもの
○全部または一部を開示しないことができる場合(個人情報の保護に関する法律第28条第2項)
1. 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
2. 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
3. 他の法令に違反することとなる場合

 犯罪予防や安全確保のためのカメラ画像利用に関する有識者検討会の結果次第では、近い将来、顔認証冤罪が社会問題化するかもしれません。

 配布資料では、改正個人情報保護法との関係から対応すべき点や、国内外の動向を踏まえ、個人情報保護・プライバシー保護について注意喚起すべき点などを追加検討し、カメラ画像利活用ガイドブックVer3.0が改定作業中と記されており、今後パブリック・コメントを経て公表予定とされています。
posted by Auctor at 02:16 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする