2021年10月12日

宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン

 国土交通省が、宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドラインを策定し公開しました。
 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00029.html

 ガイドラインのポイントは、以下となっています。

<調査の対象・方法>
○宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、告知書等に過去に生じた事案についての記載を求めることにより、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。
○宅地建物取引業者は、原則として、自ら周辺住民に聞き込みを行う、インターネットサイトを調査するなどの自発的な調査を行う義務は無く、仮に調査を行う場合であっても、亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、特に慎重な対応が必要。

<調査に当たっての留意事項>
○宅地建物取引業者は、売主・貸主による告知書等への記載が適切に行われるよう必要に応じて助言するとともに 、売主・貸主に対し、事案の存在について故意に告知しなかった場合等には、民事上の責任を問われる可能性がある旨をあらかじめ伝えることが望ましい。
○告知書等により、売主・貸主からの告知がない場合であっても、人の死に関する事案の存在を疑う事情があるときは、売主・貸主に確認する必要がある。

<告知について>
【告げなくてもよい場合】
@【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。 ※事案発覚からの経過期間の定めなし。
A【賃貸借取引】取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した@以外の死・特殊清掃等が行われた@の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後
B【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した@以外の死・特殊清掃等が行われた@の死 ※事案発覚からの経過期間の定めなし

告げなくてもよいとした@〜Bの場合でも、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要がある。
○告げなくてもよいとした@〜B以外の場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、告げる必要がある。
○人の死の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。
○告げる場合は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因及び特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げる。


 令和2年(2020年)4月1日から施行された民法では、追完請求/代金減額請求が可能となっており、追完請求/代金減額請求の期間は、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、期間制限が設けられておらず、民法166条の10年が適用される可能性があります。

 宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドラインは、人の死の告知に関して宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈となり、「個々の不動産取引において、人の死の告知に関し紛争が生じた場合の民事上の責任については、取引当事者からの依頼内容、締結される契約の内容等によって個別に判断されるべきものであり、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応を行った場合であっても、当該宅地建物取引業者が民事上の責任を回避できるものではないことに留意する必要がある。」とされ、民法上の責任を逃れるものではないので注意が必要かと思います。
posted by Auctor at 01:32 | Comment(0) | 時事ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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